祠(ほこら)は、神を祀る小規模な殿舎である。木製が一般的だが、諏訪のそれは石製であるので、石祠(せきし)である。切妻屋根を備え、観音開きの戸を開けると、内部に仏像、神像などが納められている場合がある。
件の石祠は、筆者が取材した2016年現在、写真で見るように前面の戸がなく、人物名称が陰刻された石製銘板と、その横に小さな石の神像が置かれている。さらに付近を観察すると、中央に縦長菱形の孔がある長方形の石板があり、二つに割れている。つなぎ合わせて、寸法を計測してみると、ちょうど祠の扉になる大きさである。石祠側にも、これをはめ込む溝が上下にあるので、それに間違いない。
以上の観察結果から元の状態を復元すると、次のようになるであろう。すなわち石祠の中には、奥側から①神像、②神銘板―もしくはその逆―の二つが収められ、前面には小さな菱形の窓が開けられた蓋石の扉で閉じられていたことである。(つづく)
左から神像、神名板、扉。(スケッチ&計測=筆者) |
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